・ジャニーズ性加害問題から考えるヤバイ組織

皆さん、自分が所属している組織はヤバく
ないですか?

先日、故ジャニー喜多川氏の性加害問題
について第三者委員会の調査結果が発表

その中でジャニー氏の性加害について
少なく見積もって数百人の被害者がいる
との認識を示しました。

それを受けてジャニーズ事務所が記者会見
を開き、以下のような内容を発表しました

・ジャニー喜多川による性加害の
事実認定と謝罪

・代表取締役社長の藤島ジュリー景子が
辞任、東山紀之氏が就任

・被害者に対して対話し救済と賠償する

・ジャニーズ事務所の名前は残す

5時間に及ぶ記者会見を見て感じたのが
こんな組織が50年以上残っている環境の
ヤバさです。

気づかぬうちに組織が腐っていて、放置さ
れてきた環境。これは皆さんの所属してい
る組織でもあり得る事です。

ヤバイ組織はどうして出来上がるのか?
なぜ、放置されて存続し続けるのか?
今回のジャニーズ問題を基に考察していきたいと思います。

50年以上前から被害者がいる組織


ジャニーズ事務所のはじまりは1962年に
創業者のジャニー喜多川氏が歌って踊れる
アイドルとして「ジャニーズ」という
グループを結成し創業しました。

創業後まもなく、ジャニーズ事務所の
芸能学校において授業料の支払いと、
ジャニー喜多川氏による生徒への猥褻行為
を巡って裁判となる中、当時の週刊誌に
おいて性被害の実態が明らかとなっていました。

この時は「ジャニーズ」のメンバーだった
中谷良さんなどが裁判に出廷して性加害を
否定したため、裁判で性加害は認定されず
あまり問題視されませんでした。

次々と暴露本が出版される組織


1980年代に入ると、シブがき隊、少年隊
光GENJIなどが一世を風靡してジャニーズ
事務所は芸能界の中で不動の地位を築いていきます。

そんな中で次々と出版されたのが暴露本
元フォーリーブス・北公次さんが
『光GENJIへ』を出版しベストセラーに

先ほど書いた60年代の裁判で
性加害を否定した中谷良さんが
『ジャニーズの逆襲』を出版
60年代の裁判での発言に関して

ジャニー喜多川に「それが自分たちに
とって最高の手段であるのだ」
と説き伏せられ、決められた通りにした
答弁であり

「あの証言は偽りで、性的虐待はあった」
と語っています。


その他にも
元ジューク・ボックスの小谷純・やなせかおる
『さらば!!光GENJIへ』

平本淳也著
『ジャニーズのすべて―少年愛の館』

豊川誕著
『ひとりぼっちの旅立ち - 元ジャニーズ・アイドル 豊川誕半生記』

などの暴露本が出版され、これ以上被害が
広がる事のないようにと性加害を訴えて
いました。

週刊文春が異例の特集する組織


199年に週刊文春がジャニー喜多川氏の
性加害について14週連続という異例の
特集記事を掲載します。

10名以上の少年および事務所OBに対して
20時間以上のインタビューを行い、

数々の少年がジャニー喜多川氏より被害を
受けていた事を記事にして、喜多川が
少年たちの夢への思いを利用して自らの
欲望を満たしていると非難し、

こうした行為は青少年健全育成条例に抵触
するおそれがあると指摘しました。

※驚くことに日本では2017年の法改正で
強制性交等罪が新設されるまで、強姦罪の
被害者として認められるのは女性に限ら
れていたので刑法でなく条例に抵触とされ
ていたようです。

この『週刊文春』の報道に対し
ジャニーズ事務所は記事が名誉毀損である
として文春に対し、1億円あまりの損害賠償
を要求する民事訴訟を起こしました。

マスコミに異常忖度される組織


2002年の一審判決では、東京地裁は少年
らの供述の信用性を認めず、文春側に
880万円の損害賠償を命じました。

この時マスコミは大きく報じます。

文春側はこれを不服として東京高裁に控訴
2003年の二審判決では、少年の証言は信用
することができ、証拠によりジャニーが、
少年達が逆らえばステージの立ち位置が
悪くなったりデビューできなくなるという
抗拒不能な状態にあるのに乗じ、セクハラ
行為をしているとの本件記事は、その重要
な部分について真実であることの証明が
あったものというべきである。

としてジャニー喜多川氏による性加害を
認定しました。

しかし、裁判で認定されたにも関わず
マスコミはほぼ沈黙。このことで被害を
拡大していったのは間違いないでしょう

代表の死でようやく悪事が表沙汰になる組織


2019年7月、ジャニー喜多川氏が亡くなり
報道が一気に活性化します。

週刊文春が新たな証言を報じたほか、英国
のBBCニュースが取り上げ、アメリカの
ニューヨークタイムズ紙も、タブー視され
報じられない日本のマスコミの体制につい
て言及しています。

さらに2023年になって国連人権理事会
よる調査が開始され、
「ジャニーズ事務所のタレント数百人が
性的搾取と虐待に巻き込まれるという、
深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」

と記述しさらに
「日本のメディア企業は数十年にもわたり
この不祥事のもみ消しに加担したと伝えら
れている」と報告されました。

こうした動きの中でジャニーズ事務所は
ようやく重い腰を上げ外部専門家による
「再発防止特別チーム」に調査を依頼

出てきた提言が

・再発防止策として、組織として喜多川の
性加害が事実であることを認め、被害者に
真摯に謝罪すること

・すみやかに被害者と対話を開始し被害回復
のための適正な補償をする「被害者救済措
置制度」を構築する等の救済に乗り出すこと

・国際的に見ても適切な人権方針を作成し
順守すること

などでした。これを受けての会見だったの
です。

ジャニーズ内部の人間は告発できなかったのか


会見の中で東山新社長はジャニー喜多川氏
の行為は噂で聞いていたとした上で
「鬼畜の所業」と突き放しました。

会見に同席した井ノ原快彦氏も
「噂は聞いていた。『そうなったらどうし
よう』と話していた」
として噂レベルで聞いていた事を認め
最低な行為だと断罪しました。

藤島ジュリー景子社長も噂で聞いたと
認めましたが、叔父に確認をとる事も
出来なかったと頭を下げました。

その他多数の人が今回の会見を受けて同様
の証言をしています。
分かっていたのになぜとも思いますが

進化心理学から見れば、より強い遺伝子を
残すために、生存競争の手段として人間が
選んだ仕組みなので、内部にいる人が絶対
的な権力を持っている社長(支配者)に対
しては何もできなかったのは当然かもしれません。

最近ではビッグモーターの例がありますが
組織の不正が内部では知られていたにも
かかわらず、長年表沙汰にならない事は
多数あります。

なぜヤバイ組織が存在し続けられたのか


ジャニーズの問題の被害者は未成年であり
夢や人生が絡んでいるのでかなり悪質です。
自殺未遂や鬱になった被害者まで出ています。

こうした組織が50年以上存在し続けたこと
になったのには多くの原因が絡んでます。

1.マスコミの異常な忖度
ジャニー喜多川氏の行為が表沙汰になった
のは1960年代からです。週刊誌の報道や
裁判で証言されていたにも関わらず大きく
報道される事はありませんでした。

1999年の文春での裁判では
一審でジャニーズが勝利した時に大々的に
報道
二審で性加害を認定されたにも関わらず
ほとんど報道されませんでした。

ジャニーズと蜜月になっているマスコミが
こうした忖度をする事によりほとんど世間
に知られなかった事実があります。

テレビ局はテレビ出演、そして出版社は
カレンダーとジャニーズタレントを起用
する事で巨額の利益を得てます。
※ジャニーズのカレンダーは複数の出版社
から販売されています。


2.組織を出たものへの異常な圧力
ジャニーズを出たタレントは冷遇されてい
ます。仕事を与えられなかったり、存在そ
のものを消されます。

元シブがき隊の本木雅弘を映画で起用した
時に圧力があったと証言がありましたし、
SMAPを脱退した森且行さんは長年SMAPに
存在した事をテレビで報じるのを禁止され
てました。

元SMAPの森さんのように他の業界に行った
人にまで人権を侵害するような行為をする
事(そしてそれに従うマスコミ)に異常性
を感じます。

3.異常なトップを庇う家族経営
ジャニーズ事務所はジャニー喜多川氏と姉
のメリー喜多川氏、そしてジャニー氏の後
を継いだのがメリー氏の娘の藤島ジュリー
景子氏の同族経営でした。

同族経営で悪質な体制を庇い合いをして
いて、自らを律する機会がなくガバナンス
が効かない状態になっていた可能性が大
きいです。

全国的な不祥事が発覚したビッグモーター
も同族経営で長らくヤバイ組織が存続し、
多数の被害者を生み出しています。

ジャニーズは変われるのか


今回の記者会見は英国放送BBCや国連など
世界的な非難を受けてようやく設置された
調査チームの報告を受けて行われました。

ただ対策の内容は、現社長の藤島ジュリー
景子社長は退任するが、取締役には留まり
被害者の補償を行うというとても解体とは
思えない組織体制であり

さらに「ジャニーズ」の名前を残すとの
発表には驚きました。鬼畜の所業を行った
人の名前を残しますか?

会見では存在そのものを否定してきて名前
を残す意味が分かりません。

マスコミの忖度も変わってないです。
新社長に就任した東山紀之さんが司会を
していた「サンデーLIVE」会見後の10日
から出番はなし、しかも番組で一切触れら
れず!情報番組ですよ!

NHK「クローズアップ現代」では紅白で
ジャニーズをキャスティングした自社の
人物にインタビューしていたので、まだ
救いようがありますが、徹底追及をしよう
とするテレビ局は皆無です。

CMは次々とジャニーズタレント起用の終了
を宣言。花王に至っては起用続行と言いな
がら翌日に起用終了発表するなど混乱も見られます。

CM業界を見ていると今回の会見を受けて
さっさと手を引いている印象ですね。
世間も呆れている人が大半かと思います。

恐らく更なる外圧がかからないと
ジャニーズは変わらないでしょう。

ヤバイ組織を作らないために


皆さんが所属している組織は大丈夫でしょうか?

トップの悪行を放っておくと組織全体の
感覚が麻痺していき、気が付けばヤバイ
組織になってしまいます。

周りが忖度して、トップの信者が増えると
世間から見て悪い行いが隠ぺい、よい事と
され組織が腐っていきます。

その影響力が外部にまで及ぶとさらに組織
の腐敗が進みます。ビッグモーターは広告
出稿が巨額なため報道が遅れたとの指摘も
あります。

自分自身もそうですが、物事を俯瞰して
観察し、組織に対してバイアスがかから
ないようにしましょう。自分自身が腐っ
た組織に所属している事に気がつかない
のが一番不幸ですから。